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米国特許法271条(b)項等に該当する日本国内行為についての準拠法 最判 平12受580号

【要旨のみ】
【要旨1】特許権の効力の準拠法に関しては,法例等に直接の定めがないから,条理に基づいて,当該特許権と最も密接な関係がある国である当該特許権が登録された国の法律によると解するのが相当である。
けだし,
(ア) 特許権は,国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり,
(イ) 特許権について属地主義の原則を採用する国が多く,それによれば,各国の特許権が,その成立,移転,効力等につき当該国の法律によって定められ,特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められるとされており,
(ウ)特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められる以上,当該特許権の保護が要求される国は,登録された国であることに照らせば,
特許権と最も密接な関係があるのは,当該特許権が登録された国と解するのが相当であるからである。

【要旨2】特許権に基づく差止め及び廃棄請求の準拠法は,当該特許権が登録された国の法律であると解すべきであり,本件差止請求及び本件廃棄請求については,本件米国特許権が登録された国であるアメリカ合衆国の法律が準拠法となる。

【要旨3】米国特許法の上記各規定を適用して被上告人に差止め又は廃棄を命ずることは,法例33条にいう我が国の公の秩序に反するものと解するのが相当であるから,米国特許法の上記各規定は適用しない。

【要旨4】特許権侵害を理由とする損害賠償請求については,特許権特有の問題ではなく,財産権の侵害に対する民事上の救済の一環にほかならないから,法律関係の性質は不法行為であり,その準拠法については,法例11条1項によるべきである。

【要旨5】本件損害賠償請求について,法例11条1項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」は,本件米国特許権の直接侵害行為が行われ,権利侵害という結果が生じたアメリカ合衆国と解すべきであり,同国の法律を準拠法とすべきである。
けだし,(ア) 我が国における被上告人の行為が,アメリカ合衆国での本件米国特許権侵害を積極的に誘導する行為であった場合には,権利侵害という結果は同国において発生したものということができ,
(イ) 準拠法についてアメリカ合衆国の法律によると解しても,被上告人が,米国子会社によるアメリカ合衆国における輸入及び販売を予定している限り,被上告人の予測可能性を害することにもならないからである。

【要旨6】本件米国特許権の侵害という事実は,法例11条2項にいう「外国ニ於テ発生シタル事実カ日本ノ法律ニ依レハ不法ナラサルトキ」に当たるから,被上告人の行為につき米国特許法の上記各規定を適用することはできない。

※【法例】は平成18年に「法の適用に関する通則法」と改正
【法例】は、国際的な私法上の紛争にどの国の法律を適用するかについて定めた法律の名称
旧「法例33条」は、「法の適用に関する通則法」第42条に改正
旧「法例11条」は、「法の適用に関する通則法」第22条に改正

法の適用に関する通則法


米国特許法
第271 条 特許侵害
(a) 本法に別段の定めがある場合を除き,特許の存続期間中に,権限を有することなく,特許発明を合衆国において生産,使用,販売の申出若しくは販売する者,又は特許発明を合衆国に輸入する者は特許を侵害する。
(b) 積極的に特許侵害を誘発した者は,侵害者としての責めを負うものとする。
(c)以下 省略

第283 条 差止命令
本法に基づく訴訟についての管轄権を有する個々の裁判所は,特許によって保障されている権利についての侵害を防止するため,衡平の原則に従って,その裁判所が合理的であると認める条件に基づいて差止命令を出すことができる。

第284 条 損害賠償
原告に有利な評決が下されたときは,裁判所は原告に,侵害を補償するのに十分な損害賠償を裁定するものとし,当該賠償は如何なる場合にも,侵害者が行った発明の使用に対する合理的ロイヤルティに裁判所が定める利息及び費用を加えたものを下回らないものとする。
損害賠償額について陪審による評決が行われなかった場合は,裁判所がそれを査定しなければならない。何れの場合にも,裁判所は損害賠償額を評決又は査定された額の3 倍まで増額することができる。本段落に基づいて増額された損害賠償は,第154 条(d)に基づく仮の権利には適用されないものとする。
裁判所は,該当する状況下での損害賠償額又は適正なロイヤルティを決定するための補助として,鑑定人の証言を聴取することができる。

米特許法271条の効力.mp3

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青山秀夫

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青山 秀夫
代表弁理士
特定侵害訴訟代理人
一級建築士

S47 東海高校卒業
S51 名古屋工業大学卒業
S51 トヨタ自動車工業(株)入社S55 名古屋市役所入社
H17 弁理士登録
H19 知財テラス特許事務所開設

H20.12 事務所を中区に移転H21 発明協会 発明特許相談員
H29~R3 愛知県立芸術大学 非常勤講師

高木将晴

高木将晴
弁理士
特定侵害訴訟代理人
第三種電気主任技術者

東海高校卒業
立命館大学電気電子工学科卒業立命館大学院理工学研究科電子システムコース卒業
H24 知財テラス特許事務所入所H25 弁理士登録

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